陶芸作品の『窯印』ができました
2009年の作品から使用します。
冬のパリ美術館めぐり
パリ通の友人に、朝食付きのホテルと航空券・現地の乗り物と美術館のフリーパスなどの手配をしてもらい、12月24日クリスマスイブ~30日までの年末を、パリで過ごしました。4時過ぎに陽が暮れると、寒さが一層厳しく感じられましたが、街は美しいイルミネーションに包まれ、飽きることなく、ガイドブックと地下鉄の路線図を頼りに、主に美術館の見学をしました。
英語の簡単な単語しかしゃべれないため、食事に何がでてくるか不安もありましたが、子供の頃から図録で見た作品に出会える度に幸せで、また近現代の目新しい表現、スケールの大きな建物にも興味津々でした。地下鉄ポン・ヌフ駅からセーヌ川に架かる橋(ポン・ヌフ)を渡り、対岸に広大なルーヴル美術館を眺めながら、セーヌ川左岸を歩いてオルセー美術館まで行ったり、ピカソ美術館の帰り道、若いデザイナーのおしゃれなブティックやショップが建ち並ぶフラン・ブルジョア通りでぶらぶら買い物をしていると、ポンピドゥー・センター(国立近代美術館)に行き着いたりと、自由な散策を楽しみました。かつて奈良や京都・北京や西安の街を歩いた、あの感覚と同じ、新鮮で豊かな気持ちを久しぶりに味わいました。
「風と土のかたち」展
11月10日~16日、NPO法人Arts Planet
Plan from IGAの会員と関係者や地域の方々による「風と土のかたち」展が開催されました。私は法人会員になって3年、3回目の出品です。
会場は、伊賀市の中山間部
矢持の、旧矢持小学校(教室4部屋と廊下)です。出品者46名の約100点の作品により、過疎の村の廃校となった校舎がよみがえったような感動に、アートのすばらしさを実感しました。また、会期中には体験ワークショップや実技講習会もあり、ものづくりは人と人をつなぐというテーマ通り、たくさんの方々と交流させていただきました。
写真左から、赤絵金銀彩ふた付き磁硯などの文具、穴窯焼成の水滴など、会場第3室の様子(角谷さんの木馬の後ろに、私の書と刻字作品)、会場第1室(和室)の様子、いくつか書いた案内、です。
15日は、草木染めの実技講習会に参加しました。翌朝、会場から法人のアトリエに穴窯の修繕に向かう途中、矢持地区の美しい風景に、しばらく車を停め、見入ってしまいました。
「第2回 書くことは楽しいin奈良」
NPO法人奈良21世紀フォーラム主催の「第2回 書くことは楽しいin奈良」が、なら工藝館の工芸フェスティバル期間中の11月6日~9日まで、館内のギャラリーで開催されました。奈良の伝統的な筆や墨の匠の技の紹介と共に、現代の書の振興を願って企画されています。2年前の県民ギャラリーの時から、奈良女子大学書道部に協力の依頼があり、趣旨に賛同して、書作品の展示をさせていただいています。会場が、なら工藝館になった前回(今年2月)からは、東大寺学園書道部とOB・西大和学園書道部OBの参加もあって、部員達にとっては、校外での貴重で楽しいイベントとなっています。
奈良女子大学書道部「学祭展」
十数年前から関わっている奈良女子大学書道部
http://www.geocities.jp/nwu_shodo/
との活動は、私の楽しみの1つです。部活の一番大きな行事が、大学祭期間中の「学祭展」で、11月1日~4日まで、学館2階ホールで開催しました。
合宿などで書き上げた作品を、学生達は自分達の手で裏打ちをして、額や軸に貼り込みます。例年3回生が中心となり、学部生・院生・OGや交流のある他大学の学生の作品も展示しています。概ね学生達は主体的で、私は、技術の習得に終始することのないよう、自分の持っている教養とセンスを総動員して、学生の時にしかできない、自由で独創的な作品を発表するようにと、声をかけています。
田上早百合のかたてま展
陶芸家 箱崎竜平先生主宰のR工房で、作陶をするようになって3年、先生のお勧めで、初めての個展をしました。本業の「書」を意識して、タイトルは「かたてま展」です。会場は、やるならここと決めていた、東大寺戒壇院近くのギャラリー「五風舎」(奈良市水門町)、10月1日~6日まで、授業を休ませていただき、毎日在廊しました。
作品は、私自身が書斎で使いたいな、あればいいなと思う、陶硯・水滴・印盒・筆置きなどの文房具を中心に、新しく試みたフタ付きの硯なども加え、上絵をした「いろは歌」や吉語などの陶印100個余りと、箱崎先生が成型してくださった皿や湯呑みに、呉須や赤絵などで文字を書いたものも展示しました。書のタッチで絵付けをし、時間の許す限り、好きなものばかり作りました。会場の様子です。
DMの写真は、カメラ好きの弟が撮ってくれました。そのごちゃごちゃした撮り方がよかったのか、楽しそうと言っていただき、知り合いが知り合いを誘ってくださって、300名以上の方々に見に来ていただきました。ありがとうございました。会場で出合われた皆さんのなごやかに歓談される様子、忘れることができません。
※女友達の有志と奈良女子大学の書道部員がシフトを組んで、会場係りをしてくれましたが、思った以上のたくさんの方々に、私自身の対応の行き届かなかった点が多々ありました。お詫び申し上げます。
オータム・フェスタ
9月25日~27日、奈良学園登美が丘校(奈良市中登美が丘)の、技術・美術・音楽・書道の実技系教科の教師5人が、授業では紹介できない作品などを、「オータム・フェスタ」と題して、校内の匠の部屋で発表しました。技術の先生は折りたたみ式のちゃぶ台など、美術の先生は油絵など、私は写真のような作品を展示、音楽の先生はミニコンサートです。吹き抜けのサイエンスホールに、軽快なトランペットが響き、フィナーレは「ポニョ」の大合唱で盛り上がりました。
実技教科にも、興味を持ってもらえたでしょうか。
奈良女子大書道部「合宿」
奈良女子大学書道部は、毎年、広間のある民宿などで、2泊3日の合宿をしています。
今年は、9月13日~15日、村おこしの一環として屋号を杉板に揮毫させていただいたご縁で、かつて伊勢本街道の宿場町として栄えた山粕(奈良県曽爾村)に行きました。代表の阿片さんの「大庄屋」に宿泊、ご夫妻の心温まるもてなしを受けました。隣接する児童館が練習会場となり、学生達は、好きな古典の臨書や思い思いの創作に取り組みました。美しい山並み、手作りのお料理、初めて試みたバーべキューなど、今までと一味違った合宿となりました。
村田肇一さんの個展
村田肇一さんの個展「Little things
陶の動物たち」が、7月2日~8日まで、大丸京都店美術工芸品売場で催されました。村田さんhttp://www.muratakeiichi.com/は、箱崎先生の友人で、アフリカでの陶芸指導の経験から愛らしい動物を作っていらっしゃる陶芸家です。
動物の文字のある熟語の磁印4点「牛歩」「象外」「万象」「龍虎」を作らせていただき、それぞれの動物を載せてもらいました。コラボは楽しいね、と言っていただき、一緒に展示してくださいました。デパートデビューです。
佐々木さんの穴窯
陶芸仲間の井上さんから、穴窯を青年に貸して、窯焚きをしているので応援してほしいとの連絡があり、7月6日、見学に行きました。ほとんど一人で焚いていらっしゃる様子を見て、翌日までお手伝いをすることにしました。
猛暑の中、汗だくで奮闘していたのは、若い陶芸家
佐々木淳さんhttp://www.geocities.jp/atsu_maru_55/parktop.html
です。窯出しの日も夏日、汗とほこりにまみれ、空を見上げるとクラクラしました。いくら好きでも仕事でも、真夏の穴窯は有り得ない・・・、経験した人は皆そう思うことでしょう。
個展に向けて「下絵」
7月8月の夏休みは、個展に向けて、R工房で作品制作に勤しみました。書の作品と違って、工程がいくつもあります。写真は呉須での「下絵」の様子で、緑に見えているところは、ブルー(染付け)になります。この後、釉薬をかけて本焼き、さらに赤絵や金・銀・緑の「上絵」をするものも多く、3回焼くことになります。
硯や水滴などには書の線の絵付け、皿や鉢には、デザインとしておもしろい篆書・隷書の「鹿」や十二支、筆の動きを楽しめる行書で「雪月花」など、文字を書きました。
2008年度の「穴窯焼成」始動
NPO法人Arat Planet Plan from IGA「粘土カフェ」主催の4回目の「穴窯焼成」を企画しました。
法人アトリエ近くの別荘地から間伐材(赤松)の提供を受け、4月20日、2トントラック7往復して運び込みました。今年度の活動開始です。奈良女子大学附属中等学校の校庭の間伐材の提供もあり、穴窯の燃料には間伐材を有効に再活用するという趣旨は実現できました。ご理解ご協力、ありがとうございます。
関係団体や伊賀市・名張市の記者クラブにも募集のチラシを配り、どきどきしながら地元のFMラジオにも出演して、参加を呼びかけました。年間を通した薪割りを実施しています。
2007年度「穴窯焼成」窯詰め・窯焚き・窯出し
「窯詰め」は、3月20日・21日と2日間かけて丁寧に行ないました。窯の中には2人しか入れませんが、交替で行ない、赤貝の上に壷を横向きに置いたり、焼き直しなど、実験的な試みは自由です。詰め終わると、耐火レンガを組んで焚き口を作り、22日10時から焚き始めました。「火入れ」だけは私の出番、始めはゆっくり焚き火のように、窯や作品を暖めていきます。1100度になるまでは、順調でした。
この冬はアトリエの薪ストーブの燃え方が悪いので、穴窯を焚いても同じではないかという不安はありました。予期していた事でしたが、温度が上りません。原因は、薪が生木のせいです。1100度台が48時間も続いた頃、このまま上らなかったら、と胸が痛みました。さらに、学生達がガイダンスのため少なくなり、残ったメンバーは睡眠も食事もままならない中、知恵を出し合い、できる工夫はすべて尽くして奮闘しました。4日目の夜通し続いた緊張感は、明け方、目標温度の1250度になった時、歓喜に変わりました。その後、強力なコンビが高温をキープ、ホッとしたのもつかの間、燃費の悪い焚き方をしたため、薪がありません。予定より早い26日正午、500束全ての薪と同時に、気力も体力も使い果たし、5日間の「窯焚き」は終わりました。
新年度が始まった4月6日、2007年度穴窯焼成の「窯出し」でした。楽しみですね、と言われても、私はそう思う余裕はなく、やれることを全てした、どうなっていてもただ受け入れるしかないと思って臨みました。
薪の運搬や薪割りの労・悪戦苦闘の窯焚き、暖かい数々のご支援に感謝しながら、そのプロセスすべてがすでに掛け替えのないものになっていました。出てくる作品は、ドラマチィクな物語のエピローグです。自画自賛ではありますが、苦労しただけの感動、今後の課題などたくさんのご褒美をいただきました。
6月21日法人発行の「アトリエニュース」より(PDF形式:464KB)
研修旅行 ~常滑・佐久島~
3月8日・9日、NPO法人Arts
Planet Plan from IGA
の研修旅行に参加しました。常滑は何度か訪れていましたが、INAXライブミュージアムなどは館長さんの解説があり、タイルの歴史にも理解が深まりました。佐久島(愛知県一色町)は初めてです。青木野枝さんの作品(写真4枚目)など、海岸に点在する野外オブジェを鑑賞しながら、島内を歩きました。
昨年の研修旅行で訪れたアートアイランド「直島」は、大きな企業の作ったものであるのに対して、佐久島のアートからは、地域住民の、島を愛するパワーを感じました。あさりを採る人々の明るい笑顔も印象的で、清々しい気持ちにひたりました。
「書くことは楽しいin奈良2008」
昨年は、県主催の「奈良の文房三宝展」に協力してほしい、とNPO法人奈良21世紀フォーラムhttp://www.h7.dion.ne.jp/~nara21cf/の依頼を受け、近鉄奈良駅近くの「県民ギャラリー」で、奈良女子大学書道部の作品を展示させていただき、期せずして学外展の機会に恵まれました。文房三宝とは、奈良の特産である「筆・墨・紙」です。
今年は、奈良21世紀フォーラムの主催となり、会場も「なら工藝館」内のギャラリーに移して、2月22日~24日、「筆・墨」の展示と共に、書作品の展示と会場係りをさせていただきました。奈良女の書道部員が中心となり、会場が広くなったため、東大寺学園と西大和学園の元書道部の大学生6名・東大寺学園の書道部員4名の作品も並べました。また、奈良県曽爾村山粕宿(かつての伊勢本街道の宿場)の村興しの一環として部員が屋号を揮毫させていただいた表札も展示し紹介しました。
「青蛾窯」の見学
奈良市鉢伏にある「青蛾窯」は、大学時代からの友人で家族ぐるみのお付き合いのある陶芸家 松元洋一氏の穴窯です。工房入口に掛けられた看板は、書も彫りも田上惠一(夫)の作品で、築窯のお祝に制作したものです。
私が担当している「粘土カフェ」の穴窯焼成が3月にあるため、勉強させてくださいとお願いして、1月の窯詰めと2月の窯焚きに何日も通いました。見事な窯詰め、そして、緊張感はあるものダイナミックな焼成には、長年のこだわりと努力の跡を感じました。窯焚きでは、火色と、窯全体の様子を見るようにと、寡黙な彼の左側の特等席で見学させてくれました。プロの技を目の当たりにして、なにもかもレベルが高すぎて何の参考にもならない!と率直に言うと、それがわかるか大したものだ、と褒めてもらいました。
寒中見舞い
写真は、昨年の様子です。上から、穴窯の修繕(窯の設計をしていただいた彫刻家・外磯先生と)/穴窯焼成(3月)の作品/6月の庭にて/「アーテイスト・イン・レジデンス」のお手伝いに愛犬パムを連れて(8月、バックは伊賀市青山のメイン会場)/R工房で制作中の文房具(水滴・円硯・印盒)/書道部の合宿(9月、天橋立にて)